封筒

封筒宛名「御中」の(苦い)思い出

忘れもしない大学受験の時のことです。
地元の国立大学が第一志望だった私は、二次試験の願書を取り寄せ、必要事項の漏れが無いよう、できる限り丁寧な字で封筒に宛名を記入をしました。
中身を何度も確認し、封をして、宛名に印刷で『○○大学 願書受付係 行』とあるのに気付き、「あ~、『行』を直さなくっちゃね!」と、定規で二重線を引いて訂正。これで完璧な仕上がりです。
すでに郵便局の営業時間は過ぎていたので、その封筒をポストに投函しました。
そして帰宅したのですが…。
ふと、気付いたのです。
二重線を引いた後、自信満々に訂正したその文字が、『御中』ではなく、『殿中』だったことに…。
前年の暮れに、たまたまテレビで見た「忠臣蔵」の記憶が強烈だったのか。はたまた、宛先の『殿』と『御中』が混ざったのか。
頭の中に、「忠臣蔵」の有名な台詞、「浅野殿、殿中でござる!」がこだまのように響きました。

 

うわぁーーーっっ!やってもーたっ!!

 

と思いましたが、ポストの集荷時間も過ぎていて、すべては後の祭りです。
まあ、宛先には配点ないんだし、とか、願書受け付ける人と採点する人は別だし、とか、くよくよする自分を慰めながら受験しましたが、結局サクラは咲きませんでした。(封筒に書いた宛名のせいではないでしょうけれど。)
今でも、『御中』と書いたり入力するたびに、失敗に気付いた時の焦りと恥ずかしさを思い出します。
おかげでそれ以降、同じ間違いをしたことはありません。
最近は、はじめから『御中』となっている封筒をよく見かけます。
そうだよ、どうせ直すんだから、『御中』でいいじゃん。よっぽど合理的だよ。
そう思いますが、自分で返信用封筒を入れる時には『行』と書いてしまいます。
自社や自分に『御中』、『殿』、『様』とつけるのは、謙譲の心を大切にする日本人としては、礼儀を欠くようで馴染まないのかもしれません。